レポート
8月17(火)聖学院中学校 自由研究版 Beyondミーティング 開催報告
聖学院中学校版Beyondミーティング feat.自由研究!
開催日時:8月17日(火)9:00~15:00 (各回1時間、計6回実施)
約120人参加
聖学院中学校1年生5クラスでは「好きを啓く(ひらく)」を学年目標に、夏休みの自由研究が行われています。その中間発表としてオンライン上でフィードバックの会が開かれ、この会をBeyondミーティングとのコラボレーションで行いました。
企画背景
友達に質問をしたり自分の意見を伝えたりすることって、中学生にとってものすごくドキドキすることです。
「質問を出来るようになった方が良い」「どんなアイディアでもOKだから出し合おう!」ということは分かっている。でも追求するみたいで微妙な空気になりそう、こんなしょぼい思い付きじゃ絶対役に立たない、、、そんなことをグルグル思っていたら結局黙ってて終わっちゃった。
今の中学生だけでなく、きっと誰もがそんな経験をしてきたはずです。
コンセプト
この夏、フィードバックすることもフィードバックされることも、楽しい!と実感して欲しい!その先に、友達やチームでの活動に自分も貢献できるんだ!という自信が芽生えるはず。
そんな思いを共にした、聖学院中学校の佐藤先生と、Beyondミーティングのメンバーは、通常のBeyondミーティングの型もBeyondして(=積極的に崩して)、「自由研究版Beyondミーティング」を作りました!
デモンストレーション
当日は、Beyondミーティングの文化である「いいね!」「おもしろいね!」が飛び交う「応援カルチャー」を体現する人として、16人のBeyondミーティング経験者が参加しました。
最初は、この経験者たちで「全力応援ブレストミーティング」のデモンストレーションをします。進め方と、どんな風に「いいね!」「おもしろいね!」を相手に伝えるのか、見て感じてもらう場です。
● まず発表者は「自由研究の青写真(計画書)」を見せながら、ここまでに考えたことや調べたことをプレゼンテーションします。
● ブレストミーティングの他の参加者は、プレゼンテーションを聞いて「面白い!」「ここに可能性が詰まっている!」と感じたことをドンドン伝えます。
● その次に、発表者以外の2〜3人で「Aさんの自由研究がもっと面白くなるには?」という問いに、思いつくままにアイディアを言います。「インスタを使ってみようよ。」とか「Aさんのファッションセンスってすごく素敵だから、これを使えないかなって思ってます。」など、従来の自由研究へのフィードバックではちょっとぶっ飛び過ぎかな?と思うようなアイディアも出されます。
● そして最後に発表者であるAさんが、たくさん上がったアイディアの中から1つ、これをやってみたいな!と思ったことを選びます。
このデモを通じて、
「どんな風にしたって失敗にはならないんじゃないか」
「あんな突拍子もないことを言ってる人も貢献になってる!」
「ちょっとくらい気まずい思いをしたって大丈夫」
といったポジティブな雰囲気を感じてもらえたら、いよいよブレストミーティング本番です!各グループには、2〜3人の生徒さんと、先生方もしくはBeyondミーティング経験者が1〜2人入ります。
多彩な自由研究のテーマ
聖学院中学校1年生では生徒たちは、自分が好奇心を掻き立てられる事柄と、それがいまの社会にどのような関係・影響があるのかを掛け合わせて考え、自由研究のテーマを決めます。下記はそのタイトルの一例です。
● すごい鉄道のリサイクル入門
● 航空機の自動操縦とAIの安心・不安
● 宇宙のSDGs
● フクロウと世界を変えるための画像判別
● 魚と環境問題
● 漫画はなんのために生まれたものなのか
● 社会派系ホラー映画と人種差別
● いじめと差別
● なぜ人は眠くなるのか(別に寝なくてもいいのでは)
自分の好きなもの・興味関心をよく分かっていて、まっしぐらに探求している生徒さんが多いことに、当日参加したBeyondミーティング経験者も驚いていました。研究してきたことを伝えたくて、どんどん話をしてくれる生徒さんもたくさんいます。
Beyondミーティングの様子
一方でもちろん、考えを言葉にして伝えるのがまだ苦手な生徒さんもたくさんいます。また、はじめましての見知らぬ大人に2分でプレゼンテーションをするとなれば、緊張しないわけがありません。
例えば、緊張した表情で、栄養素の性質について発表してくれた生徒さんがいました。夏休み中は、様々な栄養素を調べるだけでなく実際に食べてみているとのこと。自由研究の計画書では、「自分ごと」のところには「栄養素」と書いていますが、「社会ごと」のところは空欄でした。けれどプレゼンテーションの様子から、自分の自由研究にとても思い入れがあることはひしと伝わってきます。
その時、じっとプレゼンテーションを聞いていたBeyondミーティング経験者が「●●さんはどうして栄養素に興味を持ったの?」と尋ねました。すると生徒さんからは、お父さんが料理人で自分も料理をするのが好きだからとのこたえ。クラスメイトの2人も含めて、一気に場に「なるほど!」の気持ちが広がります。それからは「調べた栄養素をもとにメニュー開発をして欲しい」とか、「気になる健康ポイントごとにおすすめ栄養素と調理法をまとめてTwitterで発信して欲しい」とか、「作った料理を写真にとって見せて欲しい」など、様々なアイディアが飛び出しました。「お父さんと料理をしてみたら?」という提案の時には、発表者の生徒さんの目が輝き、笑顔がこぼれます。まさに「好き」から探求が「啓」かれていった瞬間だと思いました。
ブレストミーティングの時間は1人あたり約10分と短いです。けれど、発表者を全力で応援!する気持ちがあれば「●●さんの自由研究がもっと面白くなるには?」という問いに皆が夢中になり、短い時間で多くを得ることができます。
■ 生徒の声
● 1人でやるのとはまた別の方向の取り組みがわかって、時々やってみるといいと思いました。
● 表し方は人によって違い、自分だけのものを作るという事を学びました。
● 自分のやりたい自由研究を発表するときは発表が楽しい、言葉が出てくる。
● いろんな意見を言われて考えが広がった感じがしました。
● 自分や家族だけではない人たちに話を聞いてもらって気づきもあったし、もう少し改善出来るなという所も見つけることが出来て良かったです。
● 色んな人から意見をもらって嬉しかったです。
● パッと思い浮かぶ感想でたくさんのアイデアが生まれました!
● 友達の意見で、クーラーを持ち運ぶという発想が凄いと思いました。
● フードロスだけでなく貧困にも興味を持てて、他の人からアドバイスをもらえて、工夫の仕方がわかって、楽しかったです。
● アイデアを試してまとめたいと思います。
● またこのようなアドバイスをもらえる授業をやってほしいです。
● もっと時間がほしいです。
● 最高でした!
■ 先生の声
企画・運営をした佐藤充恵先生からは、以下の感想をいたただきました。
本校では思考力入試としてレゴ®ブロックを採用しており、入学してからも自分の考えを表現するツールとして用いています。(https://www.seig-boys.org/news/n46168/:オリエンテーションの様子)レゴ®ブロックによる表現はとても意味があることだと思います。ただ、その後の対話による深まりがあれば生徒たちのさらなる成長につながるのではないか、と感じていました。そんな思いからこのコラボレーション企画をお願いしたという経緯があります。
「思ったことを感じたままに表現して良い」「どんな小さな気づきやコメントも他者の貢献につながる」「他者とのやりとりの中から、本当に自分が大切にしたいことが発見できる」ーーー生徒たちはこのような実感を得ることができたと思います。その場を心から楽しむスタッフの方たちの姿に子供たちも自然と巻き込まれ、どんなアイディアも尊重する姿勢や協働する価値を学んだ時間となりました。ぜひ来年もお願いしたいです。
■ Beyondミーティング経験者(各グループのファシリテーター役)の声
今回、組織・肩書・世代・ジャンルを越えて、様々な方にご協力いただきました!起業家、教育コーディネーター、大学生、Beyondミーティングの過去登壇者、特別版Beyondミーティングの主催者、などがその一例です。
● 中学生ということを忘れるくらい非常に面白いトピックばかりで感化されました!みんな興味に沿って調べたりアクションを起こそうとしているのが素晴らしいです。
● 自由研究はこんなに進化しているのですね!自分ごと×社会課題というテーマがとても面白かったです。
● SDGsに対する興味関心が高いことが理解でき,非常に楽しかったです!
● 緊張している中学生から意見を引き出すために,話を振ることは難しいものだなと感じました。また短い時間の中でも、生徒同士のクロストークやのっかりを生み出す工夫も大切だと感じました。ファシリテーション力をつけていきたいと実感しました。
● 完成したものもぜひ拝見したいです!
聖学院中学校のみなさん!これからも「意志ある挑戦」と「応援しあう文化」で「好きを啓く」仲間として、互いに切磋琢磨していきましょう!